まずサードインパクトをまとめていく。
サードインパクトはTV版の別パターンエンディングとして「Air/まごころを君に」というタイトルで2番目の劇場版として公開された映画の中で描かれている。
————-ここから余談————-
Airが2番目の劇場版と書いたが、では初の劇場版は何だったのか?
それは1997年3月公開の「Death and Rebirth」という作品だ。
内容的にはTV版の総集編&Airの冒頭20分程度で終わり。エヴァ量産機が現れて魂のルフランが流れ出した時の絶望感たるや、未だに忘れない!
TV放映終了から1年待たされて、総集編を見せさせられた挙句、「続く」で終わったわけだ…
その後「Air」の公開まで更に約1年半待たされたのである。
————-ここまで余談————-
事象としてはセカンドインパクトと同様、
神に等しい存在にロンギヌスの槍を刺す事により、神が生まれる前の姿に戻ろうとする事で発生する事象
である。これがより詳細に描かれたのがAirである。
サードインパクトにおける神に等しい存在は初号機が担う事になる。
TV版の流れでこの時点で初号機は第14使徒(ゼルエル)のS2機関(生命の樹の象徴)を取り込んでおり、既に知恵の実と生命の樹を手に入れている状態だ。
<エヴァの構造の話>
何故生命の樹の象徴を取り込む事で初号機が神に等しき存在となるかというと、それはエヴァの製造工程に秘密が隠されているからだ。
<エヴァの素体の話>
エヴァは劇中でアダムのコピーと説明されてきたが、それは弐号機以降の、それも素体の話である。
その為、アスカの以下のセリフに繋がる。
アスカ:これこそ世界初のエヴァンゲリオンなのよ。正式タイプのね。
そう、つまり零号機と初号機は正式タイプではないのだ。それは何故か?
正式タイプを造る為のプロトタイプとして本来のエヴァとは異なる製造工程から造られた機体だからだ。
では正式タイプのエヴァの素体がアダムのコピーだとするならば、プロトタイプの零号機・初号機の素体は何か?
それはセントラルドグマの地下に囚われていたリリスのコピーである。
<素体ここまで>
<コアの話>
また、ここまで書いたのはあくまで素体の話である。素体だけでエヴァがエヴァたり得るわけではない。
エヴァがエヴァとして機能するにはエヴァのコアが必要だ。
このコアには人の魂が使われている。
初号機には碇ユイの魂が、弐号機にはアスカの母の魂が、参号機にはトウジの母の魂が使われている。
————-ここから余談————-
参号機のコアはトウジの母という説と、妹という説の2つが存在する。
私は母という説を支持している。
その理由はトウジがエヴァに乗ると決めた理由にある。トウジがエヴァに乗ると決めた条件が妹をネルフの病院に転院させる事だ。
トウジが入院中の妹の見舞いに毎日通っている事はTV版で描かれている。それはネルフの病院に転院しても変わらないだろう事は容易に想像できる。
その妹の魂をコアに使ってしまっては見舞いに来るトウジにずっと面会謝絶という訳にはいかないだろう。
また、転院後死亡したという事にした場合でも、その時点でトウジがエヴァに乗る理由がなくなってしまう事から、コアは母であるという説を支持している。
劇中では当時の家族構成について母の言及がない。トウジのセリフからは祖父・父・妹がいる事しか語られていない。
————-ここまで余談————-
零号機のコアが誰なのかは謎だが、これには2つの説がある。
1.零号機には人の魂が不要(素体がリリスのコピーでパイロットがリリスの魂であるレイだから)という説
2.零号機のコアには赤城ナオコ(赤城リツコの母)の魂が使われているという説
これはどちらの説も決定打がない。
人の魂が入っていないエヴァとシンジがシンクロするというのも違和感が残る(TV版で相互互換テストとして零号機にシンジ、初号機にレイという組み合わせでの起動試験が行われており、
それぞれがシンクロに成功している)し、一人目のレイを殺したナオコの魂をコアに使い、パイロットとしての二人目のレイとシンクロするという話には違和感がある。
<コアここまで>
<構造ここまで>
<量産型でのインパクト?>
ではS2機関を取り込んだエヴァが神に等しき存在となるならば、何故量産型エヴァではダメだったのか?
Airの冬月のセリフから量産型エヴァがS2機関を搭載していることは明らかだ。
冬月:S2機関搭載型を全機投入か。まさかここで起こすつもりか?
ただ、これではダメなのだ。上記でも書いた通り正式タイプのエヴァの素体はアダムのコピーだ。
量産型でインパクトを起こしても開くのはセカンドインパクトと同様、使徒のガフの扉である。
そもそもゼーレの人類補完計画は群体として行き詰った人類の魂を原罪(神を欺き知恵の実を得る)から浄化し、エデン(ガフの部屋)へ戻して原罪のない穢れなき生命体へ新生する事だからだ。
その為、人のガフの扉を開きインパクトを起こす必要があったのだ。
人のガフの扉を開くには以下の3つの可能性があった。
1.リリスを使いインパクトを発生させる
2.リリスのコピーである零号機を使いインパクトを発生させる
3.リリスのコピーである初号機を使いインパクトを発生させる
この内、1と2は不可能と判断された。それはリリスの魂であり、零号機のパイロットであるレイがゲンドウに懐柔されていると判断された為だ。
<量産型ここまで>
<人類補完計画>
ではゼーレの言う人類補完計画とゲンドウが言う人類補完計画は違うものだったのか?
そう、違うものだったのだ。
ゼーレの言う人類補完計画とは上記で述べた通り、
群体として行き詰った人類の魂を原罪(神を欺き知恵の実を得る)から浄化し、エデン(ガフの部屋)へ戻して原罪のない穢れなき生命体へ新生する
である。だがゲンドウの計画していた人類補完計画とは
神と人が一体化し、人が神へと進化する
事だったのである。その過程でゲンドウはユイともう一度逢い、ユイと一つになるのがゲンドウの願いだったのである。
ゲンドウが具体的に何をしようとしていたのかは謎であるが、想像できる事としてはアダムとリリスを融合し、自らがそのコアとなり、サードインパクトで人々の魂がガフの部屋に入ったところで
ガフの部屋ごと自らに取り込んで単体の人として神になる。といったところでしょうか。
<人類補完計画ここまで>
<そもそも論>
では、そもそも論として何故人類は原罪をなくし新生、もしくは神へと進化しなければならないのか?
人類がエヴァを使って全ての使徒を倒して人類勝利!で終われないのか?
それはゼーレが使徒を倒しても贖罪(原罪の浄化)をしなければ、最後は神自身が手を下してくると考えていたからである。
本作は旧約聖書の世界がベースになっていると冒頭で書いた。旧約聖書には数々の神の怒りが描かれている。ソドムやゴモラ、バベルの塔、創世記に記述されている大洪水(ノアの箱舟)などがそれだ。
これらは人の罪(傲慢さ)によって引き起こされてきた。
つまりゼーレとすれば、使途を全て倒したとしても、人間が贖罪しないでいると、神が現れ、ソドムやゴモラのように人類を滅ぼすか、絶滅しないまでも科学の力で生命の樹に近づけないように
大きく文明レベルを落とされるような可能性が高いと考えていたと思われる。
これが上記で書いた「群体として行き詰った人類」という事に繋がる。
<そもそも論ここまで>
話をサードインパクトに戻す。
周辺の考察が長くなった為、今一度周辺考察前の文章を書いておく
TV版の流れでこの時点で初号機は第14使徒(ゼルエル)のS2機関(生命の樹の象徴)を取り込んでおり、既に知恵の実と生命の樹を手に入れている状態だ。
事象としては
神に等しい存在にロンギヌスの槍を刺す事により、神が生まれる前の姿に戻ろうとする事で発生する事象
であるわけだから、後はロンギヌスの槍があれば良い。
そのロンギヌスの槍も神(初号機&シンジ)の呼びかけに応じ、初号機の元へ現れる。
呼びかけとは、この時点で既にシンジの心は強くデストルドーに引き込まれている事を指している。それを誘発したのは下記の事柄であろう。
・トウジの殺害未遂(漫画版では完全に死亡)
・アスカの精神崩壊
・レイの秘密を知ってしまった(造られた人間であるという事)
・カヲル殺害
・精神崩壊中のアスカに対する自慰行為における自己に対する嫌悪感
・初号機で地上に出た際に目にした弐号機の無残な姿
その結果、ロンギヌスの槍は初号機に取り込まれ、サードインパクトが始まる。
サードインパクト中はシンジの内面的なビルドーとデストルドーのせめぎ合いが描かれる。
心理描写内ではビルドーの象徴として「一つになりたい?」と言って裸のミサト・レイ・アスカが覆いかぶさる場面、デストルドーの象徴として人形と砂場で山を作る場面などが描かれる。
結果としてシンジは皆が一つになった世界よりも、それぞれが個として存在する世界を望んだ。