本作を考察する上で用語を定義しておきます。
本作はゼクノヴァによって世界線を分けて考える必要があるため、以下の様に世界線を定義します。
ジークアクス世界=本作の舞台となった世界
シャロン線=ララァが創り出したジークアクス世界以外の世界線全て
正史=本来の1stガンダムの世界線
ジークアクスの世界ではいくつかの世界線があります。
それぞれの世界線を知っておきましょう。
本作品の世界はララァが創り出した世界です。
シャロン線ではシャアは必ずガンダムに殺されてしまう、ララァはシャアが死なない世界にめぐり逢うために自らパラレルワールドを生み出し続けている。
そのパラレルワールドの1つがジークアクス世界で、一つの完成された世界です。
何故完成された世界なのか?それはシャアが戦争で死なないからです。
ガンダムがシャアを殺すならガンダムにシャアが乗れば良い。
ガンダムにシャアが乗った結果、ジオンは戦争に勝ち、シャアは生き残った。
但し、シャアがガンダムに乗る事でシャアとララァが出会う事もない世界。
本作はその後の世界から物語が始まります。
そしてこのパラレルワールドにはアムロが存在しません。
演出上もわざわざ当時の映像から音声だけを引っ張って来ているのに、頑なにアムロを出さないのですから、意図的にアムロを排除しているのでしょう。
世界観を知る上で重要な第9話の会話
ララァ:あなたはなぜここに来たの?ここに薔薇はないわ
マチュ:私が探しているのはその薔薇を追いかけている男の子なんです
ララァ:男の子?羨ましい
マチュ:館の女の子たちが言ってました、あなたは夢で未来が見えるって
ララァ:分からないわ、私が見るのは向こう側の夢。
向こう側の私は恋をしているわ。
商売じゃない本物の恋を。
とても若いジオンの将校さんがこの館を訪ねてきて私を見染めるの。
見受けまでしてここから連れ出してくれるのよ。
そこから私の本当の人生が始まるわ。
宇宙へ連れて行ってもらった私は彼の為に戦い、彼の為なら死んでも構わないとさえ思うのよ。
マチュ:宇宙へ行きたいんですか?
ララァ:宇宙へ行けば私はきっと自由になれる何でもできるようになるわ。
でも彼は連邦軍の白いモビルスーツと戦って命を落とすの。
そしてジオンは戦争に負ける。
マチュ:そいつ悪い奴なんですね
ララァ:違うわ。白いモビルスーツの彼も純粋なのよ。
私はどちらの彼も好きになる。
2人とも私には大切な人なのよ。
でも、それで終わらない。
私は夢の中で何度も赤い士官服の彼と出会うわ。
何度も何度も巡り合い、だけど何度やり直してもいつも白いモビルスーツが彼を殺してしまう。
私は大切な人を守ることができないのよ。
この会話のポイント
ララァ:違うわ。白いモビルスーツの彼も純粋なのよ。
私はどちらの彼も好きになる。
これはシャアとガンダムのパイロットを指している。
ララァ:何度も何度も巡り合い、だけど何度やり直してもいつも白いモビルスーツが彼を殺してしまう。
私は大切な人を守ることができないのよ。
ここではシャアを殺すのはあくまで「白いモビルスーツ」だという。「白いモビルスーツの彼」ではなく、モビルスーツがシャアを殺すのだと…
シャロン線のガンダムのパイロットは誰か?それは恐らくシュウジ・イトウでしょう。
ただ、それにしてはシュウジのシャアに対する反応が疑問です。
劇中はシャアとシュウジの直接の対面シーンは無く、回想での静止画1枚でした。
それもシュウジはガンダムを見つめているだけで、シャアのシュウジの印象も淡白な物だった様に感じます。
しかし、シャアはシュウジを薔薇の少女に取り憑かれていると表現した事から、それなりに話はしたのでしょう。
ですが、シュウジの立場としてはシャアを殺す勢いでもおかしくはないと思います。
何故ならシュウジはララァに恋し、いくつもの世界を跨いでララァを追いかけ続けているのに、ララァはシャアにしか恋をしない。
そのシャアがこの世界では会っていないとは言え、ララァの事を気づかずに自分の前にいる。
いや、ひょっとすると1回目のゼクノヴァでララァとは接触し、ララァの目的にも気づいているかもしれないのだ。(第12話でシャア自らジークアクス世界はララァがシャアのために作り出した世界だからこそ歪んでいると話している)
シュウジがシャアに噛み付いていたらシャアのシュウジへの印象はもっと違うものになっていただろう。
この辺りのキャラの心情などが描かれていない点が残念でならない。